入院日額と支払限度日数の選び方

入院日額は5000円あれば十分だと思う理由

入院給付金の設定は医療保険の根幹となる部分です。各社の保険料を純粋に比べたければ、特約を一切付けない状態で入院給付金設定を同じにすると比較しやすいでしょう。

入院給付金の日額は5000円や1万円が定番のようです。別に5000円が最低額という訳ではなく、2000円や3000円にも設定が可能です。私は5000円もあれば十分だと思っていますが、実際のところはどうなのでしょうか。入院するとかかる費用の相場から考えてみることにします。

専門機関の調査によれば、入院費の自己負担額の平均は20.6万円のようです。ただしこれは保険適用外のもの、すなわち食事代、差額ベッド代、高額療養費制度を利用する前の金額を含んでいるためそのまま参考にすることはできません。私が思うに、高額療養費制度がある限り医療費の自己負担額は決まっているのですから、自分の年齢と所得に合わせてひと月にかかるお金を計算し、そこから入院日額を割り出すのはどうでしょうか。

私の場合、70歳未満・一般所得者に該当するため、ひと月の自己負担額は8~9万ほどだと予測できます。9万円だとして、これを30日で割ると3000円。差額ベッド代は患者側が同意しなければ支払う必要がないことから計算に入れないものとします。あと考えられるのは食事代ですが、これは入院してもしなくてもかかるもの。日常生活に必ず発生する費用まで保障に入れておくのは少し変な気がします。会社員である私は傷病手当金も利用できるので、やはり入院日額は5000円で事足りると思っています。自営業者の方で収入が確保できない場合など、事情が異なれば5000円を1万円にしたりと補強してもいいでしょう。

1入院の定義で絶対に知っておくべきこと

入院日額の支払い期間日数も医療保険選びの重要なポイントです。すなわち、1入院の支払い限度日数と、保険期間中を通しての通算限度日数です。1入院の定義が少し分かりにくいかもしれませんが、これは入院1回あたり「同じ病気」で入院したときに最大何日間分が保障されるか?という意味です。

「同じ病気で」というのがポイントで、たとえばAさんが胃がんで50日入院したと仮定します。1入院60日型の医療保険に入っていれば保障範囲内なので、50日間分の給付金が出ますね。ところが、Aさんは退院して20日後に胃がんが再発して再入院してしまいました。今度は30日間の入院。前回と合わせると80日間入院したことになります。この場合、保証の対象となる期間は60日までで、オーバーした20日間は自腹を切らなければなりません。

では、同じ疾患での入院だと複数回の保障はされないのでしょうか? 答えはノーで、退院から再入院までの間が180日間空いていればOKになります。このあたりは理解していないと請求の際にトラブルに発展するため、しっかりと理解しておいてください。後になっていくらゴネても保険金は支払われません。

1入院60・120日型は730日・1000日型に遠く及ばない?

1入院限度日数の設定で一般的なのは60日型や120日型です。他に180日、730日、1000日まで延長できる商品もありますが、あまりメジャーではありません。通算限度日数は730日や1000日、また1095日などがあります(この95日という端数は何なのでしょうか? ご存知の方教えてください 笑)。通算限度日数はこのように長期間の設定が通常ですから、特段気にする必要はないでしょう。悩むのは1入院の限度日数です。

比較の方法の一つとして、ぞれぞれのタイプの支払保障額を計算してみる手があります。支払い限度日数に入院日額をかけてみるのです。入院日額を5000円とすると、

・60日×5000円=30万円
・120日×5000円=60万円
・180日×5000円=90万円
・730日×5000円=365万円
・1000日×5000円=500万円

1入院の限度日数が多いほど、支払い保障額に差がついていきます。もちろん、60日型と1000日型では保険料が違ってきますが、その差は2000~3000円程度でしょう。30万円と500万円の差を考えれば比較にならない金額です。この結果から、1入院の限度日数が多いほど商品としての質が高いことが分かりました。しかし、なぜ60日型や120日型の商品が市場で人気なのでしょうか。それには医療現場の現実が関係しているようです。

平均在院日数短縮と診療報酬の関係

「平均在院日数が短縮している」という記事を見たことはないでしょうか。医療技術の進歩により、昔であれば治療期間が長かった病気でも、短期で治療・退院できるようになったのです。厚生労働省の『平成23年患者調査の概況』によると、平成23年は32.8日で、平成20年と比べると2.8日減少しています。医療の質が上がった結果として受け止めると喜ばしいことですが、これには「現場の事情」も絡んでいます。

病院は患者の治療費を『診療報酬』という料金設定に基づいて請求します。70歳未満だと3割は患者、7割は国が請求先になります。入院時には『入院基本料』という診療報酬が設定されているのですが、これにはいろいろな"ランク"があり、ランクが高い、つまり料金設定が高いほど病院側の売上が高くなるということになります。では、そのランクはどのようにして決まるのか? それが看護配置と在院日数です。

看護配置とは、患者数に対して割り当てられる看護師一人あたりの数値を示す基準で、たとえば『看護配置7:1』と書いてあれば、患者7人に対し看護師一人を配置できるという意味です。『7:1』は最も手厚い状態で入院基本料が高く、『10:1』と『7:1』では売上が大きく異ることから、大病院を中心になりふり構わない"看護師争奪戦"が起きたこともありました。

もう一つが、今回話題にしている在院日数です。これは簡単に言うと、入院が一定期間まで長引けば1日あたりの入院基本料が下がる仕組になっています。するとどうなるでしょうか。売上を確保するため患者にはできるだけ早く退院してもらい、ベッドの回転率を上げようとするのではないでしょうか。 病院は経営が苦しいところもたくさんあるため、この点だけをとらえて非難するのはどうかと思いますが、患者目線ではない医療が一部で行われているのは確かです。

1入院の限度日数は何日が適切か

病院側が長期入院に消極的であるなら、いくらクオリティの高い730日型や1000日型に加入しても宝の持ち腐れになる可能性が出てきます。保険は万一ときの切り札なので、短期入院よりもリスクの高い長期入院に備える方が理には適っていると思いますが、この場合はどうなのでしょう。私は、保険料も高くなるため、ここは現実を見て60日または120日型で十分ではないかと考えています。

  夫婦・家族型 本人型
メリット ・1つの契約で複数の保障がセット
・セットなので保険料が安い
・子どもが何人いても保険料は変わらず
・個別に保障内容を決められる
・家族構成に変化があっても契約に変化なし
デメリット ・主被保険者の契約内容に縛られる
・家族構成の変化に対応しにくい(契約そのものの消滅もあり)
・夫婦の年齢差に条件がある場合あり
・保険の見直しがしにくい
・保険料は一人ひとり必要(セット割引なし)

メリット・デメリットを並べみると、医療保険はやはり本人型の方が使い勝手が良さそうです。子どもの保険料が人数に左右されないのは魅力ですが、子どもの医療費は国や地方自治体から援助があるため、医療保険そのものが必要ない気もします。共済を利用する手もありますね。子どもの医療保険については別ページで詳しく考えることにします。

保険は一生ものだからこそ、あらゆる要素を総動員して冷静に考えてみる必要があると思います。デメリットを気にしていてはキリがありませんが、長く安心できる商品を選ぶには、用心深いに越したことはありません。妥協せず、自分のライフプランにマッチした保険に出会いたいですね。

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